【資産価値を高めるパネル洗浄】CO2OSが描く太陽光の未来

投資家や発電事業者にとって、太陽光パネルの汚れは、事業計画を揺るがしかねない重要なテーマだ。太陽光アセットマネジメントのフロントランナー・株式会社CO2OS は、これからのパネル洗浄をどう診ているのか。協議会の一員として、発電所の評価アップに挑む、同社の洗浄ビジョンとは?
太陽光発電所の評価・診断を祖業とし、O&Mやアセットマネジメントを大きな柱に事業展開を図る株式会社CO2OS。
その実績は、評価診断5.5GW以上、O&Mとして保安保守管理1GW以上、アセットマネジメントとして資産管理550億円以上を誇る(2025年9月現在)。同社は先ごろ、営業・技術・現場それぞれのメンバーからなる横断組織としてパネル洗浄チームを立ち上げた。洗浄への注力を強める同社代表取締役社長の小林直子氏に、資産価値向上に資する洗浄のあり方を聞いた。
費用対効果の高いパネル洗浄で発電所の資産価値を底上げする
──パネル洗浄への取り組み、その重要性とは?
O&Mにおいては、不具合の早期発見はもちろん、発電量の最大化を図っていくことが重要だと考えています。20年というFIT期間にとどまらず、その後も長期的に太陽光発電所を保有していこうというお客様が増えており、30年以上のスパンでの事業計画も珍しくなくなりました。そのため当社では、資産価値を長期にわたって維持していくことを大きなテーマとしてO&Mに取り組んでいます。
そうした観点からも、洗浄は非常に大切なポイントとなります。単にパネルの汚れを落とすだけではなく、発電量がしっかりと向上する洗浄でなければなりません。太陽光パネルは屋外に設置されているため、花粉や土埃、黄砂、鳥の糞など、さまざまな汚れにさらされる環境にあります。これらが堆積すると、発電量は数%から、設置環境によっては10%以上低下することもあります。こうした発電量の低下は、事業収益に直結する大きな問題です。
──汚れのリスクと、洗浄で重視すべきこと
発電量の低下だけでなく、汚れを放置すればホットスポットの発生や太陽光パネルの劣化の促進といった二次的リスクも高まります。そのため洗浄は、短期的な発電量の回復だけでなく、長期的な設備寿命や資産価値の維持、さらには感電・破損や火災などの未然防止にもつながる重要なメンテナンスだと考えています。
ただし、洗浄は、ただ洗えば良いというものではありません。設置環境によって汚れやすさや汚れにくさは異なり、架台の高さや角度なども影響します。したがって、事前診断を行い、どのような方法や頻度が適しているかを見極める必要があります。
そのうえで、費用対効果を検討し、実際に洗浄した結果を検証していくというサイクルが重要となってきます。正しい知識と技術を備えた専門性こそが、洗浄の費用対効果の最大化を確かなものにします。
──発電所の資産価値への影響は?
パネルに汚れが蓄積してしまうと、当然、事業計画にも影響が及んできます。通常、発電事業者は、予測発電量と一般的な劣化率を織り込んだ事業計画を立てています。投資家は、その計画を前提に資金を投じ、収益を見込んでいます。
ところが、汚れにより5%、10%と発電量低下が継続してしまうと、プロジェクトファイナンスの返済余力(DSCR)に影響し、投資リターンや配当減少につながります。パネルの汚れは、アセットマネジメントの観点からも見逃せない問題だと言うことができるでしょう。

太陽光パネル洗浄協議会とともに発電所の長期安定稼働をサポート
──太陽光パネル洗浄協議会への入会のきっかけは?
当社は、O&Mを事業の大きな柱の一つと位置付けており、多くの現場でパネルの汚れと洗浄効果に関するデータを集めてきました。一方で、業界全体としては「どの程度、発電量が向上するのか」「どのくらいの頻度で洗浄すれば良いのか」といったデータや基準が整備されておらず、統一的かつ専門的な知見が十分ではないという現状があります。そのため、投資家にとっても分かりづらい部分が多いのではないかと感じています。
太陽光パネル洗浄協議会の設立趣旨にある「洗浄の費用対効果を明確にし、汚れの度合いや種類を診断する手法を開発する」という考えには強い共感を覚えました。
事前診断を行わずにやみくもに洗うのではなく、予測を立てたうえで対応する、こうした姿勢は投資家にも理解されやすく、私たちの事前診断・実施・事後評価の考え方とも一致しています。
さらに、業界全体で共通の指針や正しい洗浄方法を広げていくことは、私たちO&M事業者にとっても、発電事業者にとっても非常に有意義なことだと考え、入会を決めました。
──太陽光パネル洗浄協議会に期待することは?
まず1つ目は、発電所の洗浄前後のデータを収集し、汚れの度合いや種類を正確に判断できる仕組みを整えていただくことです。現在、遠隔で診断できる方法も検討されており、コスト効率の高い診断手法が開発されていると伺っています。これをさらに推し進め、広く普及させるような活動に期待しています。
2つ目は、安全性の確保です。洗浄では水を使用するため、ガラスの損傷や感電事故といったリスクが伴います。そうしたリスクを防ぐための安全基準を整備し、どのO&M事業者も安全に作業できる環境をつくっていただければ、現場の安心感が高まると考えています。
3つ目は、最新技術の共有です。自動洗浄やロボットの活用など技術は日々進化しています。そうした最新技術の情報を会員間で共有し、現場で実際に利用できるようにしていただけると大変ありがたいと思っています。
──将来に向けて想うこと
太陽光発電はFIT制度によって大きく成長してきましたが、これからはFITに頼らず、市場統合を前提とした発電をしていくことが求められています。だからこそ、長期的かつ安定的に発電し続けることが、大きなテーマとなっています。
その実現には、O&Mの高度化が欠かせません。その中でも洗浄は、地味ではありますが、非常に重要な課題です。洗浄は一見コストに見えるかもしれませんが、実際には収益を向上させ、設備寿命を守るための投資です。適切な診断と効果的な洗浄を実施することで、発電量の低下を抑え、発電所の資産価値を高めることができるのです。
私たちは、データ分析や現場の知見を活かし、これからも発電所の価値を守るための提案を続けてまいります。そして太陽光パネル洗浄協議会の皆さまとともに、業界全体で知識や技術を高め、発電所の健全な運営と持続可能な未来づくりに貢献していきたいと考えています。
株式会社CO2OS
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